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孤闘―Fighting Alone
「角川書店」(2003/08)
斉藤 実(著)
19×13cm 211P
¥1,785(税込)

単独で世界一周する最も過酷なヨットレースで、過去3度完走という快挙を成し遂げ、世界中のセーラーから賞賛された一人の日本人の物語。
アメリカ東海岸を出発して南半球を周り、200日前後をかけて出発地まで戻る世界一周コースをたった一人で航海する、
世界で最も過酷と言われる「BOCチャレンジ アラウンド・アローン」(現在は「5オーシャンズ」に名称変更)。
4年ごとに開催されるそのヨットレースの中には「吠える四十度線」、「唸る五十度線」と船乗りから恐れられてきた、
暴風が吹き荒れる南緯四十度から五十度の海域が待ち受けています。
そのレースに56歳で初めて挑戦し、完走の過去最高齢を記録する65歳になるまで挑み続けた筆者の、飽くなき挑戦の
姿勢に驚きの念を禁じ得ません。しかも、全くの個人参戦のため、大したサポートも期待できず、限られた資金の中で
孤軍奮闘する姿に、痛々しいほどの情熱が感じられます。
いかにも江戸っ子らしい向っ気の強さが滲み出た一人称の文体で、ちょっと荒っぽい言葉で精神的にひ弱な現代人を
痛烈に批判する場面もあり、読んでいて心にグサッとくるものがあります。でも、それらは、世界一過酷なヨットレースに
3回も挑戦してすべて完走を果した筆者の、経験・実績に裏打ちされた言葉であり、嫌味は感じられません。
日本国内でよりも、むしろ世界のセーラーの間で高く評価された筆者。「世界の海を股にかける」といった表現がピッタリの
、苦難を乗り越えてきた海の男の言葉には、独特の重みと説得力があります。しかしその一方では、レース中に命を絶った
大切な友人のことを想い心を痛める筆者の人柄に惹かれ集まる人々と、レースを通して結ばれた固い友情に、こころ温まる
思いがします。
本書は、単なる中年男性の冒険物語というだけに止まらず、希望を見失いがちな現代人に痛烈な批判を浴びせながらも
勇気を与えてくれる、ちょっと辛口の人生の指南書といってもいいでしょう。

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