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シャクルトンに消された男たち―南極横断隊の悲劇
「文藝春秋」(2007/08)
ケリー・テイラー・ルイス(著) 奥田 祐士(訳)
19×14cm 373P
¥2,000(税込)

シャクルトン率いる南極大陸横断隊の奇跡の生還の影に隠れ忘れ去られた、もう一つの苦難と絶望の旅から生還した男たちの物語。
1914年12月、イギリスの探検家シャクルトンを隊長とする本隊の南極大陸横断隊をサポートするため、南極に向かった
オーロラ号。その隊員の使命は、南極の東の端から西に向かって大陸を横断する本隊のため、西側の到着予定地点から
南極奥地に入り、食料や備品の備蓄施設を設営することでした。
しかしその旅も、本隊と同様悲惨で絶望的なものとなります。想像を絶する飢えと寒さに加え、複雑な人間関係、さらには
時間の感覚をも狂わせるほどに続く暗闇の世界。そんな過酷な条件に耐え、自らの命をも顧みず「鉄の意志」をもって使命を
全うしようとする隊員の、不屈の精神と生命力のたくましさに、圧倒されます。しかし、本当に心打たれるのは、彼らの努力が
自分達のためではなく、いつやってくるかも知れない本隊のために払われたということです。
本隊が1年半に亘って南氷洋を漂流した後に、奇跡的に全員無事生還したことから、センセーショナルに取り上げられ、
隊長シャクルトンが国民的英雄として迎えられた影に隠れ、本書のサポート隊は長らく語られることもありませんでした。
しかし、本隊と比べてはるかに貧弱な装備とメンバーで、極寒の地を生き抜いた彼らもまた、本隊と同様大いに賞賛される
べきであり、読む者に深い感動を与えます。
ただ、本隊は結局南極大陸に上陸すらできず、彼らのために命をかけて備蓄設備を設営したことが、結果として
全く報われなかったことを考えると、南極大陸の東と西で繰り広げられた男たちのドラマに、言いようのない皮肉を感じずには
いられません。
なお、本隊である南極大陸横断隊の物語は、「エンデュアランス号漂流」で克明に
描かれています。本書と併せて読むと、一層の感動を覚えます。

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