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大西洋漂流76日間 (ハヤカワ文庫NF)
「ハヤカワ文庫」(1999/05)
スティーヴン・キャラハン(著) 長辻 象平(訳)
15.5×10.5cm 357P
¥756(税込)

想像を絶する飢えと乾き、絶望と死の恐怖に耐えながら生き抜いた、76日にも及ぶ壮絶な大西洋漂流記。
全長21フィート余りの小型のクルーザーで航海中、突然なにかと衝突し、救命用の小さなゴムボートとわずかな食料で
大海に放り出されたことが、長く壮絶な漂流の始まりとなります。
水中銃でボートに近づく魚を突いて食料にし、太陽熱蒸留器で真水を確保しながら生き長らえ、先の見えない絶望的で
孤独な旅を続ける中、やがてゴムボートは破れ、水中銃のシャフトを失い、太陽熱蒸留器も壊れていきます。それでも
知恵を絞り、ありあわせのもので補修・代用し、懸命に生き抜く姿は、痛々しいほどです。
生への強烈な執着心と、かろうじて残る理性で、痩せ衰えていく身体と衰弱した神経に襲いかかる妄想を懸命に
振り払い生き抜く姿は、まさに驚異です。人間のどこにこれほどの生命力が隠されているのか、ただ驚かされるばかりです。
日記形式で日々の様子が綴られていますが、日を追って体力が衰え、精神的に追い詰められて死の淵をさまよう姿が、
臨場感あふれる文章で克明に描かれ、読んでいるこちらが辛くなるほどです。
絶望の旅の末にカリブ海に到達し、漁師の船に助けられるシーンも、感動的です。筆者が乗るゴムボートに集まった海鳥を
偶然見つけて、遠くの海までやってきた貧しい漁師たち。彼らのために、死の一歩手前にある自らの状況にも拘わらず
筆者がとった行動に、深い感銘を受けます。
片や先進国の文化人、片や小さな島の貧しい漁師。でも、同じ海に生きる対等の人間として、極限の状態に置かれながらも
思いやりのある清々しい態度に、思わずジーンと熱くなります。
人間が「生きる」ということに対し、強烈な問いを投げかけてくる一冊です。

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