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あきらめたから、生きられた―太平洋37日間漂流船長はなぜ生還できたのか
「小学館」(2001/12)
武智 三繁(著) 石川 拓治(構成・文)
19×13cm 221P
¥1,260(税込)

「あきらめたから、生きられた」-小船で37日間も太平洋を漂流した著者の、この逆説的な言葉の意味に、本書を読んで
思わず納得。
遠慮深い性格と、恥をさらしたくないという誰もが抱く思いから、自力でなんとか小さな漁船のエンジンを直そうと思った
ばっかりに、九州から銚子のはるか800km東の沖まで黒潮に乗り、なんと1ヶ月以上漂流することになってしまった
著者の体験記。
多少の食料や水は積んでいたとはいえ、小さな船で37日間も耐えた筆者は、さぞたくましく精神力の強い海の男かと
思いきや、小柄でやさしそう、失礼ながらむしろひ弱な印象さえ受けるほどで、そのギャップにちょっと驚かされます。
そんな著者が長期間一人で漂流に耐えられたポイント、それは「あきらめる」ということ。何が何でも生き抜くんだと思うと、
精神的に辛くなります。でも、あきらめることにより、ふっきれた感じで心が楽になったと述べています。
本書の中で書かれている著者の印象的な言葉、それは-「頑張らなくっていいんだよ。力を抜いていいんだよ。
それで、とりあえず、自分にやれることをやったらいい。」
生存を脅かすほどの悲惨な体験にも拘わらず、著者の物事にこだわらない性格がにじみ出た、淡々とした文章で、
不思議と悲壮感は漂ってきません。むしろ、静かな説得力をもって、読む者に問いかけてきます。
現代社会のなかで背伸びをしながら、あくせくと働くわれわれに対し、警鐘を鳴らすような一冊です。

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